薬剤性肝障害

薬と肝臓

体内に入った薬剤の大部分は肝臓に運ばれて、肝細胞内の蛋白によりさまざまな処理をされます。その結果、薬剤は効果を発揮したり、作用を弱められたりします。これは薬剤だけでなく、食物、飲み物、毒物、サプリメントも同じように処理を受けます。近年では漢方などの輸入薬剤やサプリメントによる肝障害も報告されており、黄疸など重篤な肝不全状態を引き起こすことがあります。

薬剤性肝障害とは

多くはアレルギー反応により肝障害を起こします。薬剤投与量に関係なく起こり、繰り返し使用するとショックを起こして重症になることがあります。それ以外に薬剤そのものや、処理の途中ででる中間産物が蓄積して、肝障害が起こるものもあります。肝障害を起こすかどうかを事前に予測することは、現在のところ完全にはできません。アレルギー反応が起こるかどうかは薬剤を使用してみないとわからないこと、肝臓での薬剤処理能力が人によって異なること、さらにいろいろな食物や一緒に使用している薬剤が肝臓の処理能力の強さを変化させるためです。薬剤を使い始めて障害が起こるまでの期間もさまざまで、すぐ発症する場合から、2年以上たって発症する場合まであります。

薬剤性肝障害の診断について

食欲不振や嘔吐、黄疸などがでることがありますが、特徴的な自覚症状はありません。アレルギー反応の場合は発熱、発疹が出ることがあります。肝不全になると黄疸はひどくなり、腹水なども起こします。

どのような薬剤を使用しているのか確認することが重要です。しかし数種類の薬剤を併用している場合、原因薬剤を一つに特定することが困難な場合があります。また最近ではインターネットや通信販売などでさまざまな健康食材・漢方・サプリメントが手軽に入手できますが、これらが薬剤だと認識されていないことがあります。

血液検査ではAST(GOT)、ALT(GPT)、ALP値が診断・経過の把握に重要です。まれに重篤化し、肝不全状態になることもあります。DLST(薬物誘発性リンパ球刺激テスト)が特異的な検査ですが、陽性にならないこともあります。

急性肝障害では肝臓が腫れ、慢性肝障害では逆に肝臓が萎縮し腹水が溜まります。
他の肝疾患との区別が困難な場合、肝臓の組織を採取して顕微鏡で見る検査(肝生検)が必要になることがあります。

治療法について

原因薬剤の中止が最も有効です。軽症の場合は薬剤中止により速やかに回復しますが、回復が長引く場合や重篤化する場合は、肝不全・劇症肝炎に準じた治療が必要となることがあります。

肝臓を保護する治療として強力ネオミノファーゲンC注射やウルソデオキシコール酸内服、脂溶性ビタミン、ステロイド、タウリン投与などが行なわれます。
飲酒をすると障害が重篤化、遷延化するため、禁酒が必要です。

原因薬剤検索も含め、かかりつけ医や肝臓専門医の指示にしたがって治療することが望まれます。
アレルギー反応による薬剤性肝障害は二回目のほうが重篤化することがあるため、原因となった薬剤は二度と用いてはいけません。記録を手元に控えて、医療機関に受診した際は提示するようにしましょう。

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